卒業生による好蟻性ハチ類とハエ類に関する論文の出版「アリ類およびクロコバエ科ハエ類と暮らす好蟻性コバチ類Spalangia crassicornis Bouček, 1963(ハチ目:コガネコバチ科)の生態,および東アジアにおける本種の初記録(英文)」
2023年3月に卒業された梶原冴月さん(現在は九州大学大学院生)の卒業論文を含む下記論文が、日本昆虫学会の英文誌『Entomological Science』に掲載されました。
この論文は、北海道においてLasius属のアリの巣に生息するコガネコバチ科の1種(Spalangia crassicornis)とクロコバエ科のハエ類の生態を扱ったものです。このコバチ類は、アリの巣に出入りし、働きアリの間を歩いてもアリから攻撃をされないことが確認されました。このコバチ類の体表の炭化水素の成分を分析したところ、炭化水素をアリに似せる化学擬態を用いず、むしろ体表の炭化水素をを著しく減少させることによってアリの攻撃を回避している可能性が示唆されました。アリの巣で採集されたクロコバエ科のハエ類の飼育により、このコバチ類が好蟻性クロコバエ科に寄生することが確認されました。また、このコバチ類は、本論文によって東アジアで初めて記録されました。
書誌情報
Kajiwara, S., Matsuo, K., and Yamauchi, T. (2025) Biology of the myrmecophilous wasp Spalangia crassicornis Bouček, 1963 (Hymenoptera: Spalangiidae) associated with ants and milichiid flies (Diptera: Milichiidae), with the first record of the wasp from East Asia. Entomological Science, 29(2): e70022. https://doi.org/10.1111/ens.70022
[アリ類およびクロコバエ科ハエ類と暮らす好蟻性コバチ類Spalangia crassicornis Bouček, 1963(ハチ目:コガネコバチ科)の生態,および東アジアにおける本種の初記録]
| 羽化したコバチ(撮影者:梶原冴月) |